近年、企業の合併や買収を支援する「M&A業界」が未経験者にも門戸を広げています。高収入や早期キャリアアップといった魅力がありながら、「専門知識や金融経験が必須なのでは?」とハードルを感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし実際は、異業種出身でもチャレンジできる環境が整い、研修制度やOJTを通じて着実にスキルを習得できる企業が増えています。本記事では、未経験からでも活躍できるM&A求人の魅力を解説するとともに、2025年版「未経験歓迎のM&A求人10選」をご紹介します。ぜひ参考にして、M&A業界への第一歩を踏み出してください。

転職エージェント兼マネージャー
M&A JOB BOARD 増田 将汰
ますだ しょうた
明治大学卒業後、明治安田生命に入社。個人・法人営業を担当し、上位5%の成績を達成。その後、営業所長として約50名のマネジメント経験を積む。株式会社WILLCOでは「弁護士・法務領域」と「採用コンサルティング事業」をゼロから立ち上げ、現在はM&A JOB BOARDの事業責任者として、業界に特化した転職・就職サポートを行い、業界トップクラスの実績を実現。
M&A業界の魅力と「未経験歓迎」が増えている理由
活況を迎えるM&A市場の背景
M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業同士の合併・買収のことを指します。ここ数年で国内のM&A件数は年々増加し、特に中小企業の事業承継問題を解決する手段として注目が高まっています。
経営者の高齢化による後継者不足が深刻化し、「会社を次世代に残したい」「社内に後継者がいない」という悩みを抱えるオーナーがM&Aを選択するケースが増加。さらにコロナ禍を経て企業再編ニーズが高まり、M&A市場は今後も拡大すると予想されています。

地方企業だけでなく都市部でも中堅企業のM&A需要が急増しており、大手M&A仲介会社からベンチャーまで人材不足が続いている印象があります。
なぜ未経験でも採用されるのか
M&Aアドバイザーやコンサルタントと聞くと、「銀行・証券など金融機関出身者か、会計士しか採用されないのでは?」と思われるかもしれません。しかし実際には、異業種から転職し、活躍している事例も多数存在します。
その背景には、下記のような理由があります。
- M&A人材の需給ギャップが大きい(業界全体で人手不足)
- 企業がポテンシャル採用に積極的(充実した研修やOJTを整備)
- 営業・企画・ITなど他職種で培ったスキルが大いに活かせる
特に中堅・中小企業を扱う仲介会社ではオーナーと直接交渉する場面が多いため、「経営者と対等に話せるコミュニケーション力を重視する」「様々な業界経験を活かせる人材を求める」といった風潮が強まっています。
未経験からでも目指せる高年収とキャリアパス
M&A業界は、平均年収900万~1,000万円超とも言われるほど報酬水準が高いことでも知られています。特に大手仲介会社では20代で年収1,000万円を超える社員が珍しくなく、インセンティブ次第では30代で2,000万円に到達するケースも。
主に「基本給+インセンティブ(歩合)」の給与体系をとる企業が多く、扱う案件の規模や成約数に応じて報酬が青天井に伸びる可能性があります。

金融機関出身や資格保有者だけが稼げるわけではなく、他業界出身でも短期間で高収入を実現した例が多数あります。
M&Aアドバイザーの仕事内容と未経験者に求められるスキル
M&Aアドバイザーの主な業務フロー
M&Aの現場では、「売り手企業」と「買い手企業」をマッチングし、成約に至るまで一貫してサポートするのがアドバイザー(仲介コンサルタント)の役割です。
主な流れは以下の通りです。
事業承継ニーズや企業拡大を検討するオーナーにアプローチ。
財務諸表や事業内容を分析し、企業価値を算定。
売り手と買い手の条件をすり合わせ、最適な組み合わせを提示。
価格・従業員の処遇などを詰め、本契約を結ぶ。
買い手側の精査(監査)をサポート。
案件の規模や難易度は企業の特性によってさまざまですが、一連の流れを一貫してサポートすることで、企業同士の橋渡し役を担うのがM&Aアドバイザーの使命です。
未経験者に求められる基本スキル
- 財務・会計の基礎知識
決算書(貸借対照表、損益計算書など)を読めることは最低限必要。簿記2級レベルがあれば安心です。 - コミュニケーション力
経営者の信頼を得ながらヒアリングや提案を行うため、誠実かつ論理的な対話力が重要。 - 提案力・プレゼン力
M&Aのメリットやシナジーをクライアントにわかりやすく伝え、納得してもらうスキル。 - 粘り強さ・タフさ
M&A成立まで数ヶ月から1年以上かかるケースもあり、交渉が難航することも多いため、途中で投げ出さない粘り強さが欠かせません。 - 学習意欲
法務・税務や業界知識など、入社後も幅広い分野を学び続ける姿勢が必要。

一見ハードルが高いイメージですが、営業出身なら「経営者と話す場面が多かった」、IT出身なら「IT企業の業界知識がある」といった経験が強みになることが多いです。
よくあるQ&A:「未経験でもM&Aアドバイザーになれる?」
Q: 金融経験や会計資格が一切ありません。それでも応募可能ですか?
- A: 可能です。求人要件に「必須資格なし」「未経験歓迎」と明記されている企業が多く、実際に研修やOJTでイチから学べます。書籍やオンライン講座で簿記や財務基礎を学んでおくと選考で有利です。
Q: 営業経験がなくても大丈夫?
- A: 営業経験があると有利ですが、コミュニケーション力や論理的思考力があれば問題ありません。前職で何らかの折衝業務に携わっていたなら、その実績をアピールしましょう。
Q: 年齢制限はありますか?
- A: 企業にもよりますが、20代の採用が一番重宝されています。ただ30~40代でも転職実績はあります。特に中途採用枠では「ポテンシャル採用+前職スキルを評価」されるケースが増えています。業界全体として人手不足なので、ポテンシャル重視で採用する企業も多いです。
未経験歓迎のM&A求人10選

ここからは、未経験でもチャレンジしやすいM&A企業・求人情報を10社ピックアップしてご紹介します。自分に合いそうな企業をぜひチェックしてください。

以下は2025年時点で比較的「未経験OK」の門戸が広い企業をピックアップしたものです。実際の採用状況はタイミングにより変動しますので、最新情報を確認してください。
1. 日本M&Aセンター

- 中堅・中小企業向けM&A仲介のパイオニアで業界トップクラスの実績
- 大手ならではの充実した研修制度で、未経験者の受け入れ体制が整っている
- チーム制で業務が進むため、未経験でもフォローを受けやすい
企業名 | 日本M&Aセンター株式会社 |
設立年 | 1991年 |
上場市場 | 東証プライム |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内 |
平均年収 | 1,200万~1,300万円(推定) |
拠点 | 東京、大阪、名古屋、福岡ほか全国主要都市 |
主な特徴 | 豊富な地銀・士業ネットワーク。成約件数業界No.1 |

「まずM&Aの基礎を大手で学びたい」という方におすすめ。安定感やブランド力を重視したい人にも向いています。

2. M&A総合研究所

- 2018年設立の急成長ベンチャー(東証プライム上場の持株会社)
- 未経験者が多数活躍中で研修やOJTを通じてスピード成長できる環境
- 高額インセンティブ制度があり、成果次第で年収1,000万円~2,000万円超も狙える
企業名 | 株式会社M&A総合研究所(M&A総研ホールディングス) |
設立年 | 2018年 |
上場市場 | 東証プライム(持株会社) |
本社所在地 | 東京都港区六本木 |
平均年収 | 1,500万~2,000万円(推定) |
拠点 | 東京、大阪 |
主な特徴 | 成果主義。入社1~2年で年収1,000万円超多数 |

とにかく成果主義で稼ぎたい人、スピード感のある成長企業が好きな人にピッタリの企業です。

3. M&Aロイヤルアドバイザリー

- 2021年創業の新興仲介会社ながら急拡大中
- 平均年齢31歳と若く、フラットな社風でチャンスが多い
- 研修制度が充実。「未経験からトップコンサルタントへ」の育成方針を掲げる
企業名 | M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社 |
設立年 | 2021年 |
本社所在地 | 東京都中央区銀座 |
平均年収 | 2,000万~2,400万円(2年目以降の推定) |
拠点 | 東京、大阪 |
主な特徴 | 完全成功報酬制。公平な案件配分と高インセンティブ率 |

4. 株式会社ストライク

- 1997年設立、東証プライム上場の独立系仲介会社
- 公認会計士出身の社長が率いており、会計事務所ルートの案件獲得に強み
- 少数精鋭で高生産性&高年収が魅力
企業名 | 株式会社ストライク |
設立年 | 1997年 |
上場市場 | 東証プライム |
本社所在地 | 東京都千代田区大手町 |
平均年収 | 約1,609万円 |
拠点 | 東京、大阪、名古屋、福岡 |
主な特徴 | フレックスやリモート勤務OK。裁量が大きく高収益 |

5. ペアキャピタル

- 2020年設立のM&A仲介ベンチャー。大手出身者が続々と参画
- 地方企業の事業承継を中心に、着手金ゼロの成功報酬モデルを展開
- 成長途上の企業につきポジションや案件獲得チャンスが多い
企業名 | 株式会社ペアキャピタル |
設立年 | 2020年 |
本社所在地 | 東京都渋谷区 |
平均年収 | 非公開(成果次第で青天井) |
拠点 | 東京、名古屋 |
主な特徴 | ベンチャー気質で創業3年ながら社員数急増。未経験でも積極採用 |

6. インテグループ株式会社

- 2007年設立、2023年に東証グロース市場へ上場
- PEファンド案件やクロスボーダー案件に強み。高い専門性を磨ける
- 基本給+高率インセンティブで、少数精鋭ながら年収1,000万円超多数
企業名 | インテグループ株式会社 |
設立年 | 2007年 |
上場市場 | 東証グロース |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町 |
平均年収 | 1,600万円前後(在籍1年以上の社員平均) |
拠点 | 東京、大阪 |
主な特徴 | 少数精鋭。年収アップにつながる高率インセンティブ制度 |
7. レバレジーズ株式会社 (M&Aアドバイザリー事業部)

- IT×人材領域のメガベンチャーが2018年頃から始めた社内M&A事業部
- IT企業のM&A案件に強みを持ち、横断的なリソース活用ができる
- 親会社の安定基盤があるため、福利厚生もしっかりしている
企業名 | レバレジーズ株式会社(M&Aアドバイザリー事業部) |
設立年 | 2005年(M&A事業は2018年開始) |
上場市場 | 非上場 |
本社所在地 | 東京都渋谷区 |
平均年収 | 非公開(求人票で年収800万円以上可と記載) |
拠点 | 東京(渋谷) |
主な特徴 | IT業界案件を多数保有。社内にエンジニアやWebマーケ人材が多く、連携しやすい |
8. ブティックス株式会社

- 介護・福祉業界に特化したM&A仲介サービスを展開
- 小規模案件に対応する独自ノウハウで、中小事業者を支援
- 社会貢献度の高い領域でM&Aを行いたい方におすすめ
企業名 | ブティックス株式会社 |
設立年 | 2013年 |
上場市場 | 東証グロース |
本社所在地 | 東京都港区 |
平均年収 | 500万~700万円(推定) |
拠点 | 東京、大阪(介護M&A支援センター) |
主な特徴 | 介護・調剤薬局など特定業界に強く、案件成約スピードが速い |

9. M&Aキャピタルパートナーズ

- 平均年収ランキングで常にトップクラスを誇る独立系M&A仲介
- 大型案件中心で、一人あたりの案件単価が非常に高い
- 超実力主義で20代・30代でも年収2,000万円超えが続出
企業名 | M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 |
設立年 | 2005年 |
上場市場 | 東証プライム |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内 |
平均年収 | 2,277万円(2024年9月期) |
拠点 | 東京本社のみ |
主な特徴 | 高額インセンティブで一件の成約が数百~数千万円の報酬につながる |

未経験で入るにはかなり難易度が高い印象ですが、野心家なら挑戦する価値あり。

10. 名南M&A株式会社

- 名南経営コンサルティングを母体とする地域密着型M&A会社
- 東海エリアを中心に地方企業の事業承継を多数支援
- 働きやすさに配慮しており、着実にキャリアを積みたい方に最適
企業名 | 名南M&A株式会社 |
設立年 | 2011年 |
上場市場 | 名証メイン(現在は名古屋証券取引所メイン市場) |
本社所在地 | 愛知県名古屋市中村区 |
平均年収 | 700万~800万円(推定) |
拠点 | 名古屋、東京 |
主な特徴 | 親会社が税理士法人などを運営。士業連携で中小企業の経営サポートに強い |

東京よりも地元企業に貢献したい、安定環境で専門知識を学びたいという方に合う選択肢です。
未経験からM&A転職を成功させるポイント
事前学習と自己分析を徹底
未経験者の場合、まずは基礎知識をインプットしておくことが大切です。M&A関連の入門書やオンライン講座で、専門用語・財務諸表の読み方を学んでおきましょう。また、「なぜM&A業界に行きたいのか?」「自分の強みをどう活かせるのか?」を整理しておくことで、書類選考や面接での説得力が増します。
履歴書・職務経歴書の書き方
- 前職の経験をM&Aアドバイザー業務に結びつける
- 数字や実績、折衝経験などを具体的に盛り込む
- 論理的・簡潔な文章で、自分の強みをアピール

数字や実績があればなお有利になります。異業種でも「経営者とのコミュニケーションを円滑にできる」「課題解決型営業に強い」など、M&A業務に通じるスキルを強調しましょう。
面接対策と熱意アピール
未経験採用では、意欲やポテンシャルを重視する企業が多いです。「いかに学習意欲があり、ハードワークを厭わないか」を示すのがカギです。もし資格勉強やセミナー受講など自己投資を既に始めていれば、さらに好印象です。

特にM&A業界は厳しさもある反面、得られるリターンややりがいも大きいです。面接では、その点をよく理解している姿勢を見せると好印象です。
M&A専門の転職支援「MAJB(エムアンドエージョブボード)」を活用しよう

M&A業界への転職では、一般的な転職サイトやエージェントだけでなく、「MAJB(エムアンドエージョブボード)」のような業界特化型サービスを利用することで、成功率を高めることができます。
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志望企業ごとの対策ポイントや質問傾向、インセンティブ交渉の仕方など、自分だけでは気付けない要点や、企業ごとの選考傾向を教えます!
未経験からM&A業界に飛び込むなら、業界特化型サービスの存在はかなり心強いです。専門性の高い業界だからこそ、「業界を熟知したエージェント」を頼ることで余計な遠回りをせずに済みます。
「自分は未経験だけどM&A業界に行きたい」という方こそ、MAJBのようなサービスを積極的に活用しましょう。
まとめ
M&A業界は市場の拡大に伴い、人手不足が深刻化している分、未経験からでも飛び込みやすいチャンスがあります。一般的には金融知識や会計知識が必要と思われがちですが、実際は「コミュニケーション力や提案力」「業界経験の多様性」を高く評価する企業も増えているのです。
報酬水準は他業界と比較して高く、若手でも成績次第で年収1,000万~2,000万円超えを実現可能。さらに将来的には事業会社の経営企画や、M&Aコンサルとして独立するなど、多彩なキャリアパスが広がっています。
本記事のまとめ
- 未経験でもM&Aアドバイザーになれる。
- M&A転職を成功させるポイントは「基本的なM&A知識のインプット」と「自己分析の徹底」と、「業界特化型の転職支援サービス」を利用すること。
ぜひ本記事でご紹介した「未経験歓迎のM&A求人10選」の中から興味をもった企業をリサーチしてみてください。

需要が拡大している今だからこそ、未経験者が採用されやすいタイミングだと感じます。早めに動いて、ぜひM&A業界で新たなキャリアを掴んでください!