「M&Aソーシング」は、案件発掘から交渉準備まで、M&Aを成功へと導く“最初の一歩”となる重要なプロセスです。昨今のM&A市場は後継者不足や業界再編の加速を背景に拡大を続け、多くの企業が優秀なソーシング人材を求めています。
「未経験だけど、M&A業界で通用するのか?」そんな不安をお持ちの方も大丈夫です。本記事では、M&Aソーシングの具体的な流れや求められるスキルから、キャリアアップや高年収を目指すためのヒントまで、プロ目線でわかりやすく解説します。さらに、“M&A業界唯一の求人サイト”として知られる「MAJB(M&A JOB BOARD)」を活用した、最短ルートでの転職ノウハウも紹介。ぜひ最後までご覧ください。

転職エージェント兼マネージャー
M&A JOB BOARD 稲田 成秀
いなだ なるひで
早稲田大学法学部卒業後、不動産業界を経て、医療系のキャリア支援に従事。株式会社WILLCOでは、主力事業の責任者として事業拡大を牽引。最優秀エージェント賞を複数回受賞し、役員採用や事業承継仲介に携わる。現在はM&Aキャリア開発事業部の事業責任者を務め、豊富な知見に基づくのキャリア支援・採用支援を通し、業界全体の“働きがい実現”に尽力している。
1. M&Aソーシングとは?

1-1. ソーシングの定義と役割
M&Aソーシングは、M&Aにおいて買収・売却の相手先候補を発掘し、交渉テーブルまで導く活動を指します。具体的には、売り手企業・買い手企業の希望条件を確認し、その要件に合う相手を探して接触し、交渉がスムーズに進むよう橋渡しをする役割です。

ソーシングは単なる営業やリストアップにとどまらず、M&A成功を左右する重要な基盤。ここがずれると後の工程が瓦解するため、業務全体の「肝」といえます。
1-2. ソーシングが重要な理由
ソーシング段階は、M&Aの「成否」を8〜9割決めるとも言われます。理由は以下の通りです。
- M&Aの出発点である
M&Aの当事者を見つける作業なので、ここがディールの出発点になります - M&A戦略の方向性が固まる
どんな相手企業を狙うか明確化することで、全体のゴールや買収後のシナジーが見えてきます。 - ミスマッチ防止
最初の段階でターゲットを的確に絞らないと、後になって価格交渉やPMI(統合プロセス)でトラブルが起きるリスクが上がります。 - 交渉効率の向上
適切な候補を厳選すれば、初期接触の成約率が高まり、効率的にディールをまとめられます。

企業の命運を握るM&Aでは、ソーシングの精度こそが「良縁」を逃さないポイント。結婚相手探しに似た繊細さがありますね。
1-3. ソーシングの主な種類(アウトバウンドとインバウンド)
ソーシングには、大きく分けてアウトバウンド型とインバウンド型の2種類があります。

- テレアポやDM(ダイレクトメール)、直接訪問などを通じて、こちらから売り手・買い手候補にアプローチする方法です。
- 従来からの飛び込み営業やテレマーケティング専門チームを組織し、ターゲット企業リストを作りこむ企業も多くあります。
具体的な例
- テレマーケティング
電話勧誘に特化した専門部署を持ち、オーナーや経営者と直接コンタクトを取る。 - セミナーやイベント出展
製造業やITなど特定の業種に絞ったセミナーを開催し、「M&Aを検討している経営者を集める→個別相談へ誘導」する仕組み。 - DM(ダイレクトメール)やSNSでの告知
“事業承継”や“企業買収”に興味のあるターゲットをリストアップし、郵送やSNS広告で訴求する。 - 飛び込み訪問
事前にリサーチした候補先企業を直接訪れ、オーナーとの面談設定を狙うケースも。
近年は電話営業への規制強化や効率性の課題が指摘されていますが、「多くの経営者と接触できる」という点は大きな強みです。ターゲットリストの精度とアプローチ手法を工夫すれば、まだまだ有効な方法として活用されています。

- 既存ネットワークや専門家からの紹介、プラットフォームへの登録などを通じて、案件が向こうからやってくる方法です。
- 地元金融機関や税理士、会計士などとの連携が重要で、売り手・買い手双方の“本音”を把握しやすい特徴があります。
- 費用対効果に優れるため、近年はインバウンド型ソーシングの強化に力を入れる仲介会社も増えています。

アウトバウンドは大量リードを獲得するには非常に有効。ただし相手方の温度感やニーズを見極めるには丁寧なフォローが欠かせません。
2. M&Aソーシングのプロセス
ソーシングの具体的な流れを知っておくと、業界の「仕事の流れ」がつかみやすくなります。一般的には以下のステップを踏んで進行します。
2-1. 目的・戦略の明確化
最初に行うのが、「なぜM&Aをするのか」をはっきりさせる作業。例えば、事業承継のためなのか、既存事業とのシナジーを活かした更なる成長か。それにより、求める企業規模や業種、地域が変わります。
- 後継者不足で悩む中堅企業が事業譲渡を考えるケース→同業他社やシナジーが見込める企業を候補とする。
2-2. 候補企業のリストアップからアプローチまで
次に、幅広く候補企業を調べます。M&A仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)が担う場合、独自のデータベースやネットワークを駆使しロングリストを作成。
そこから財務状況や事業内容を精査して、より条件に合うショートリストに絞り込みます。
- 業界リサーチ
- 地元金融機関からの紹介
- オンラインデータベース活用
2-3. 交渉と基本合意
候補企業と接点を持てたら、秘密保持契約(NDA)の締結を行い、条件や希望をすり合わせます。トップ面談などで経営者同士が対話し、大筋合意に至ったら「基本合意書」を締結。
以降はデューデリジェンス(監査)や最終契約締結と進んでいきます。

ソーシング担当の仕事は、この基本合意に至るまでのリードを取ることがメイン。ただし、その後の交渉やPMIでもフォローに回る場合が多いです。
3. ソーシングに求められるスキルと経験
3-1. 営業力・コミュニケーション力
ソーシングは営業の総合格闘技と呼ばれるほど、対人折衝の連続です。中小企業オーナーの本音を引き出すためには、丁寧なヒアリングと誠実さが必須。コンサルや法人営業の経験は特に活かされやすいでしょう。
具体例
- 「社長にとって事業承継は人生の大決断」。相手の立場に寄り添い、説得ではなく納得を促す姿勢が求められる。
下記記事でより詳しく解説しています。

3-2. 粘り強さと探究心
M&Aソーシングは、数年単位で成果を追う長期戦になることもあります。途中で断られたり、条件が折り合わず暗礁に乗り上げることもしばしば。

失敗や断りが当たり前の世界なので、諦めずに新たな視点を持って次の打ち手を考えられる人は大きく伸びます。
3-3. 財務・会計知識や分析力
M&Aでは企業価値評価や財務リスクの洗い出しが不可欠。そのため、簿記や会計、税務の基礎知識があると重宝されます。未経験の場合は、転職前に簿記2級レベルを目指して学習するとよいでしょう。
- 貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)が読めれば、候補先企業の財務健全性を素早く把握できる。
4. M&Aの最前線と将来性
4-1. 市場拡大の背景
後継者不在や業界再編のニーズが高まる中、国内M&A件数は右肩上がりで増え続けています。2024年の国内M&A件数は4,700件となり、最多記録を更新しました。
- 中小企業でもM&Aが「当たり前」になりつつあります
下記記事でより詳しく解説しています。

4-2. 潜在ニーズの発掘と課題
実は、黒字でも後継者不在で廃業する企業が後を絶ちません。こうしたケースは、売り手側が表に出ていない“潜在案件”を抱えているということ。
- 高齢経営者ほどインターネットに疎く、情報が表面化しにくい。地域金融機関や士業ネットワークとの連携が必要。

表に出ず埋もれている優良企業を掘り起こせるかどうかが、ソーシングの腕の見せ所。
4-3. キャリアパスと高収入の可能性
M&A業界全体が人材不足であり、特にソーシング業務を担える人材の需要は高まっています。未経験でもポテンシャル採用が増え、20代後半で年収1,000万円超も夢ではありません。
- 他社へのステップアップ転職(ヘッドハンティング)
- 事業会社のM&A担当や経営企画へ
- 独立してM&Aアドバイザリーファームを立ち上げる

成果を出した分だけ年収とポジションに直結する「稼ぎやすさ」は、他の業界と比べても際立っています。
下記記事でより詳しく解説しています。

5. 未経験からソーシング業務で成功するポイント
5-1. 事前準備と情報収集の徹底
新規開拓の営業や、法人営業の経験があると比較的キャッチアップしやすいでしょう。
業種特性や競合環境を把握した上で、「この会社を買収するとどんなシナジーがあるか」を考えられると説得力が増します。
簿記やM&A関連の書籍を読み、最低限の用語や計算方法を押さえておく。
5-2. 経営者との信頼関係構築
M&Aは企業同士の取引というより「経営者同士の信頼形成」がカギになります。相手企業の歴史や想いに耳を傾け、誠実かつ秘密厳守で対応する姿勢が重要。
相手の事業への想いを理解し、譲渡後の従業員や顧客のケアにも言及すると好印象。
5-3. プロのサポートを活用する
未経験者が早期に結果を出すには、M&A業界に特化したエージェントを活用するのが近道。書類添削や面接対策はもちろん、企業の内部情報を教えてもらえるため、選考通過率が格段に上がります。

プロの力を借りることで成功確率が倍増します。特に経営者視点の提案が苦手な方は、一度キャリア相談を受けてみるのがおすすめです。
M&A専門の転職支援サービス「MAJB(エムアンドエージョブボード)」を活用し、最短距離の転職を目指そう

人気企業に応募する場合、専門的な知見と面接対策が成功のカギです。そこでおすすめなのが、M&A業界に特化した転職支援サービス「エムアンドエージョブボード」の活用です。
MAJBが選ばれる理由
「M&A JOB BOARD(MAJB)」は、M&A業界唯一の求人サイトとして多数の非公開・独占求人を取り扱っています。転職エージェント機能も兼ね備えており、以下のような強みが魅力です。
- 業界特化の豊富な非公開求人
他サイトに掲載されない求人を多数保有しているため、条件・待遇のよい案件を探しやすい。 - 選考対策とマンツーマンの面接アドバイス
書類添削や面接対策だけでなく、転職理由の整理やキャリア戦略の構築など踏み込んだアドバイスを提供。 - 求人企業との太いパイプ
「どんな社風か」「面接で何を重視されるか」など、求人票には載っていない情報を事前に知ることが可能。
MAJB転職成功事例

- 法人営業の経験を高く評価され、ポテンシャル採用で中堅M&A仲介会社に入社→1年で初成約し、年収は前職比約1.7倍に。

- 分析力や提案力が決め手となり、上場M&A仲介会社からオファーをもらい転職→2年目でリーダー職に昇格。
M&A JOB BOARDで転職活動を始める方法
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迷っている方はまず相談だけでも大歓迎です。
まとめ
「M&Aソーシング」は、M&Aを成功に導く重要なファーストステップであり、企業の未来を左右する大きな役割を担います。近年のM&A市場拡大に伴い、ソーシングを専門に担う人材の需要が高まり、未経験からでも高収入・キャリアアップを実現できる可能性が大いにあります。
本記事のまとめ
- 求められるスキルは、営業力、粘り強さ、そして財務・会計の基礎知識。
- M&Aソーシングは、目的の明確化と的確な相手先選びが重要。
- 日本のM&A件数は右肩上がりで、今後さらに需要が拡大。
- 未経験スタートでも、大手仲介会社や専門ファームへの転職で高収入が期待できる。
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本記事でご紹介した内容を踏まえて、ぜひM&Aソーシングの世界に飛び込んでみてください。