【徹底解説】バリュエーションとは?M&Aで必須の企業価値評価を武器にキャリアアップする方法

M&A(企業の買収・合併)で重要な「バリュエーション(valuation)」。企業の価値をいくらと評価するかという作業は、M&Aの成否を左右する大きな鍵となります。

本記事では、M&A JOB BOARDの転職エージェントが採用企業との面談を通じて得た独自調査をもとに、バリュエーションの基礎から主要な手法(DCF法・マルチプル法など)、そして実際のキャリアアップの具体例までを詳しく解説します。

専門性の高いM&A業界で「バリュエーションスキル」を身に付けることが、なぜ収入アップや将来の可能性につながるのか。ぜひ最後まで読んで、あなた自身のキャリアを切り開くヒントにしてください。

この記事の著者

転職エージェント兼マネージャー

M&A JOB BOARD 増田 将汰

ますだ しょうた

プロフィール

明治大学卒業後、明治安田生命に入社。個人・法人営業を担当し、上位5%の成績を達成。その後、営業所長として約50名のマネジメント経験を積む。株式会社WILLCOでは「弁護士・法務領域」と「採用コンサルティング事業」をゼロから立ち上げ、現在はM&A JOB BOARDの事業責任者として、業界に特化した転職・就職サポートを行い、業界トップクラスの実績を実現。

バリュエーションとは?M&Aで欠かせない企業価値評価

バリュエーションの基本概念

バリュエーション(valuation)とは、企業の価値を定量的に評価することです。たとえば不動産を買うときに築年数や立地を見て適正価格を判断するように、企業の将来性や財務状況を分析して「この会社はいくらの価値があるか」を見極めるイメージです。

M&A(企業の買収・合併)の現場では、買い手・売り手ともにバリュエーションを実施し、その結果をもとに売買価格を交渉します。根拠ある価格算定ができれば、買い手は不当に高い価格を避けられ、売り手は安値で買い叩かれるリスクを防げます。

M&Aにおいてバリュエーションは、取引の大前提になる大切なプロセスなのです。

M&A JOB BOARD 増田
M&A JOB BOARD 増田

バリュエーションの正確性が交渉力を左右し、実際の契約条件にも大きく影響します。財務・会計のスキルだけでなく、現場でのコミュニケーション力も試されます。

バリュエーションの主要手法:DCF法・マルチプル法

バリュエーションの手法はいくつかありますが、M&Aで特に多用されるのが次の2つです。

1. DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)

対象企業が将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する手法。事業計画や割引率(WACC)など多くの前提条件を設定するため精緻な分析が必要です。

メリット:将来の収益力やシナジー効果を理論的に反映できる

デメリット:前提となる事業計画の精度によって評価額が大きくぶれる

2. マルチプル法(類似企業比較法)

類似した上場企業の株価指標(PERやEV/EBITDA倍率)を参考に、対象企業の利益を掛け合わせて相対的に企業価値を推定する手法。

メリット:計算がシンプルでスピーディ、マーケットデータを活用できる

デメリット:適切な比較対象が見つからない場合、精度が落ちる

M&A JOB BOARD 増田
M&A JOB BOARD 増田

実際には“どれが正解”ではなく、複数手法を組み合わせてクロスチェックすることが大切です。マーケットの実勢価格とDCFで算出した理論値の乖離を説明できる人材は重宝されます。

バリュエーションがM&Aで果たす役割

POINT
  • 価格交渉の根拠
    バリュエーションの結果がロジカルな根拠となり、交渉を有利に進められる
  • 高値掴みを防ぐ
    冷静な企業価値評価ができれば、過剰な買収価格を回避
  • 投資判断の基準
    将来のリターンをシミュレーションし、M&A戦略を練る際の重要な指針となる

また、上場企業のM&Aでは第三者のフェアネス・オピニオンが求められることもあり、バリュエーションの公正さが取引の正当性を裏打ちするケースも増えています。

バリュエーションを操るために必要な知識とスキル

会計・財務の基礎知識

バリュエーションの前提となるのは、企業の財務諸表を正しく理解する力です。貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)などの項目を踏まえ、将来のキャッシュフローを予測するためには、簿記や会計基準、企業法務の知識が不可欠です。

とくにM&Aの現場では、引当金や減価償却、税効果会計など、細かな会計処理にも精通していると重宝されます。

M&A JOB BOARD 増田
M&A JOB BOARD 増田

簿記2級レベルの理解があると、財務諸表から企業の強みやリスクをスピーディに把握できます

分析力・ロジカルシンキング

DCF法は事業計画の前提設定から始まり、感応度分析(シナリオ別のキャッシュフロー算出)など、高度な分析力を要します。過去~現在の実績を正しく評価したうえで、将来の不確実性をロジカルに織り込むプロセスです。

POINT

コミュニケーション力・交渉力

バリュエーションはデスクワークだけで完結せず、経営者や事業部門の担当者へのヒアリングが欠かせません。たとえば「ある大型プロジェクトが3年後に稼働するのか、それが確定なのか」など、現場のリアルな情報を踏まえて初めて正確な企業価値評価ができます。

さらにM&Aの価格交渉では、算定根拠をわかりやすく説明し相手を納得させる技術も必要です。経営トップとの折衝はかなりハイレベルなビジネススキルを要しますが、ここで信頼を勝ち取れれば成長は一気に加速します。

企業のビジネスモデルの理解

財務モデル構築力
  • ExcelでDCFモデルを素早く組めるスキルは必須。投資案件が多い部署ではPythonなどプログラミング言語でシミュレーションを組む人材も注目されています。
英語力
  • クロスボーダーM&Aが増えており、海外企業の財務資料を読み込む場面も。英語力は強みになります。

バリュエーション経験がもたらすキャリアメリット

M&A業界での高年収・高報酬

バリュエーションスキルを備えた人材は、M&A業界で引く手あまたです。M&Aアドバイザーやコンサル、PEファンドなど、各所で高い需要があり、成果に応じた高額インセンティブを支給する企業が多いのも特徴です。

上場大手のM&A仲介会社では平均年収1,000万円超、中には2,000万円に達する企業もあります。未経験者でも初年度500~700万円程度からスタートし、数年で年収1,000万円超を目指せるポテンシャルがあるのが魅力です。

M&A JOB BOARD 増田
M&A JOB BOARD 増田

営業力やコミュニケーション力に長けた人がバリュエーションを学ぶと“鬼に金棒”状態で、実績しだいでは20代で年収数千万円を稼ぐことも現実的です

【2025年最新版】M&A仲介会社ランキング徹底比較|大手4社+注目企業の強み・特徴まとめ

幅広いキャリアパス

PEファンド(投資会社)

投資候補先企業の価値評価と経営改善を実践。投資判断からExit計画までトータルに関われ、経営視点が身につく

事業会社のM&A担当や経営企画

自社のM&A戦略や新規事業投資をリード。ファイナンス面だけでなく事業開発スキルも磨かれ、将来的にCFOや役員クラスへの道も開ける

社会的意義とやりがい

バリュエーションは単なる「数字合わせ」ではなく、企業の将来像を描き、経営の意思決定を下支えする重要な役割を担います。ときに事業承継や地方創生など、社会的インパクトが大きい案件にも関わることができるため、やりがいや達成感が大きいのも特徴です。

M&A JOB BOARD 増田
M&A JOB BOARD 増田

ハードな仕事ですが「会社や地域を支えている」という実感がモチベーションになる人も多いです

バリュエーションを活かせる求人例

ここでは、M&A業界専門の求人サイトM&A JOB BOARD (エムアンドエージョブボード)が実際に取り扱う求人例をいくつか紹介します。一般的な求人サイトではなかなか出回らない非公開求人や希少案件が多いのがMAJBの特徴です。

1. M&Aアドバイザー(仲介会社)

特徴内容
業務範囲譲渡企業への提案、企業価値評価、買い手探し、条件交渉、クロージングまで
想定年収420万円〜2000万円以上(未経験の下限からインセンティブ次第で高額収入も可能)
魅力
【保存版】M&A仲介のキャリアパス徹底解説!高収入とスピード成長を実現する転職戦略

2. PEファンドの投資担当

特徴内容
業務範囲投資候補先の業界・財務分析、バリュエーション、投資実行、エグジット戦略策定
想定年収800万円〜1500万円以上(上限交渉可)
魅力

3. 事業会社(経営企画/M&A担当)

特徴内容
業務範囲新規投資の検討、既存事業とのシナジー検証、海外M&A案件の交渉、PMI推進など
想定年収600万円〜1500万円程度
魅力

上記はあくまで一例ですが、M&A JOB BOARDではこのような専門性の高いポジションを多数取り扱っています。バリュエーションの知識や実務経験があれば、好条件で活躍できるチャンスが広がるのは間違いありません。

M&A JOB BOARD 増田
M&A JOB BOARD 増田

転職市場では「企業価値評価が一通りできる人材」は比較的希少。未経験からでも学ぶ意欲があれば採用企業は多いので、まずは臆せず相談するのがおすすめです。

M&A JOB BOARDの強みと転職成功までの流れ

業界唯一の専門求人サイトだからこその充実求人

M&A JOB BOARD (エムアンドエージョブボード)は、M&A業界に特化した唯一の求人・転職支援サイトとして、多種多様な企業と連携しています。大手M&A仲介会社はもちろん、地域密着型の仲介ベンチャー、コンサルティングファーム、PEファンドなど、幅広い企業の求人案件が集まるのが強みです。

特徴
  • 独自の非公開求人が豊富
    多数の企業と連携し、大手転職サイトには掲載されていない大手仲介会社から新興ベンチャーまで求人を多数取り扱っています。
  • 業界に精通したアドバイザーが支援
    書類添削や面接対策だけでなく、応募企業との面談日程調整や条件交渉など、全プロセスをサポート。
  • 過去の成功・失敗事例に基づくアドバイス
    これまで多くのM&A仲介会社への転職をサポートしてきた実績があるため、内定獲得への最適ルートを示してくれます。

-3:M&A JOB BOARDで転職活動を始める方法

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  • 気になる案件があれば、アドバイザーがさらに詳しくご説明します。
  • 求職者向けの求人一覧ページを確認し、自分の条件に合う案件を探してみてください。
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M&A JOB BOARD 増田
M&A JOB BOARD 増田

迷っている方はまず相談だけでも大歓迎です。

まとめ

バリュエーションは企業の「今」と「未来」を評価する、奥深くやりがいの大きい仕事です。もし「もっと専門性を高めたい」「M&A領域で活躍したい」と考えるなら、ぜひ本記事を参考に行動を起こしてみてください。

最後に、本記事の要点を3つにまとめます。

本記事のまとめ

  • バリュエーションはM&Aの価格交渉・投資判断を支える根幹
    バリュエーションの精度がM&A交渉を左右し、高値掴みや安値売りを防ぐためにも不可欠なプロセスです。
  • 専門知識+コミュニケーション力があれば未経験者にもチャンスあり
    財務・会計スキルだけでなく、現場を巻き込むヒアリング力や交渉力が鍵。粘り強く学べば着実に成長できます。
  • バリュエーションを活かしてキャリアアップすれば高年収・高成長も実現可能
    M&A仲介会社やPEファンド、事業会社など選択肢は幅広く、業界の需要も旺盛。若手でも年収1000万円超を狙いやすいです。

バリュエーションスキルを磨くことで、あなたのキャリアは一気に加速するはずです。