本記事では、m&a業界への転職をお考えの方に、M&A業界への転職・キャリアアップを後押しする書籍を厳選してご紹介します。M&A JOB BOARDの転職エージェントが採用企業との面談を通じて得た独自調査をもとに、M&A転職市場の実態やおすすめ書籍の魅力を、分かりやすく解説しています。
M&A業界は高収入かつ専門性が求められる魅力的なフィールドですが、その一方で「自分にできるのか」「どんな知識が必要なのか」と不安もつきもの。そんな方こそ、まずは定評ある書籍から学ぶのがおすすめです。この記事を読み終えれば、M&A本を使った効率的な学習法や、転職成功のポイントが具体的にイメージできるようになるでしょう。

転職エージェント兼マネージャー
M&A JOB BOARD 増田 将汰
ますだ しょうた
明治大学卒業後、明治安田生命に入社。個人・法人営業を担当し、上位5%の成績を達成。その後、営業所長として約50名のマネジメント経験を積む。株式会社WILLCOでは「弁護士・法務領域」と「採用コンサルティング事業」をゼロから立ち上げ、現在はM&A JOB BOARDの事業責任者として、業界に特化した転職・就職サポートを行い、業界トップクラスの実績を実現。
1. M&A業界の転職に本を活用するメリットとは?

M&A業界は「ビジネスの総合格闘技」と呼ばれるほど、幅広い知識やスキルが求められます。財務や税務はもちろん、法務・経営戦略・リーダーシップ・交渉力など多岐にわたるため、独学で取り組む場合にも体系的な学習が不可欠です。
しかし未経験からいきなり専門的な知識を習得するのはハードルが高いもの。「自分でもできるの?」「どこから学べばいいの?」と不安になった方こそ、入門書をはじめとした“信頼できる書籍”を活用するのがおすすめです。書籍で基礎理論や実務の流れを頭に入れておくと、面接や業界研究時の理解が格段にスムーズになります。

書籍による学習は、いわば“自習教材”としてコストパフォーマンスが非常に高い手段です。著者が長年培ったノウハウが凝縮されていますし、いつでも何度でも読み返せるので、忙しい社会人にぴったりです。
- 体系立てて学べる
インターネットやSNSでは情報が断片的になりがち。書籍はまとまった情報源なので、M&Aプロセスをひと通り理解するにはうってつけ。 - 専門用語や事例を深く学べる
著者の実務経験から来るノウハウや事例が詰まっており、表面的な解説だけでなく深い洞察に触れられる。 - 繰り返し学習できる
手元に置いておけば必要な時にすぐ調べられ、理解が定着しやすい。
2. 【M&A本おすすめ5選】転職前に読んでおきたい名著を徹底解説

ここからは、M&A業界への転職でおすすめの代表的な5冊をご紹介します。全くの未経験者にも読みやすい入門書から、実務の専門書、中小企業M&Aの現場を活写した事例集まで、幅広いタイプをピックアップしました。

紹介する5冊はいずれも業界で定評のある名著です。入門書→実務書→事例集のように、複数冊を組み合わせて読むと、理解がより深まります。
1) 図解でわかる M&A入門 ~買収・出資・提携のしくみと流れの知識が身につく~

引用元:図解でわかるM&A入門 買収・出資・提携のしくみと流れの知識が身につく | 桂木 麻也
著者 | 桂木 麻也 |
出版社・出版年 | 翔泳社、2020年 |
- 図解が豊富で初心者でもわかりやすい
- 最新の業界トレンドにも触れており、興味をかき立てられる
「M&Aとはそもそも何か?」という基礎から、企業買収・事業譲渡・ファンド・PMI(統合後の経営)といったキーワードまで、豊富なイラストや図解で整理して解説しています。
また、ソフトバンクの大型投資など日本のM&A史を飾る有名な事例を取り上げ、“実際にどう行われたのか”を具体的に紹介しているため、スラスラ読み進められる構成になっています。

「専門用語が苦手…」という人でも、図やイラストのおかげで頭に入りやすく、“取っつきやすい”のが魅力。最初の一冊としてイチ押しです。
2) 改訂5版 M&A実務のすべて

著者 | 北地 達明 他 |
出版社・出版年 | 日本実業出版社、2022年 |
- 契約実務、法務・財務、組織再編税制まで網羅
- M&Aプロセスを細部まで把握したい人向けの“実務百科事典”
本書は、M&Aの多様なスキーム(TOBや合併、株式交換など)から企業価値評価(バリュエーション)、デューデリジェンス、連結会計・組織再編税制に至るまで、ほぼあらゆる実務論点を網羅しています。約500ページにわたる大ボリュームで、1章ごとに扱うトピックが細かく整理されているため、リファレンス(辞書)的)に活用できます。

未経験者がはじめから通読するとハードルが高い面も。まず入門書で基礎を身につけてから、「この具体的な手続きが知りたい」といった時に本書を開くと格段に理解が深まります。
3) M&A仲介会社の社長が明かす 中小企業M&Aの真実【決定版】

著者 | 藤井 一郎 |
出版社・出版年 | 東洋経済新報社、2021年 |
- 仲介会社の社長が100件以上の成約案件を手掛けた経験をもとに執筆
- Q&A形式で読みやすく、現場の生々しい“本音”がわかる
インテグループ代表・藤井一郎氏が、中小企業M&Aの実践知をQ&A形式で語る一冊。「売り手はいつがベストタイミングか?」「買い手の社長が交代するとどうなる?」など、当事者の素朴な疑問をリアルな事例を交えて解説しています。仲介会社の利益構造や報酬体系、ファンドとの駆け引きといった“裏事情”にも踏み込んでいるため、業界全体の構造を理解するのにも役立ちます。

M&A仲介会社の働き方や収益源を知っておくことで、転職の際の企業研究に大いに活かせます。特に高収入の背景がどこから来るのか、仕組みを把握する上でも有用な一冊。
藤井一郎氏が代表を務めるインテグループは下記で解説しています。

4) M&Aで創業の志をつなぐ 日本の中小企業オーナーが読む本

著者 | 中村 悟 |
出版社・出版年 | 日本経済新聞出版社〈日経BP〉、2019年 |
- M&Aキャピタルパートナーズ社長によるリアルな現場事例
- ドラマチックな実話を通じ、M&Aの社会的意義やオーナー心理を学べる
中村氏は、業界大手「M&Aキャピタルパートナーズ」の代表であり、自身が手掛けた事業承継の事例を中心に、オーナーがM&Aを決意するまでの葛藤や決断を深く掘り下げています。
後継者不在や市場競争の激化など、各社が抱える背景は多種多様。実例を通じて「売り手が何を考え、どう説得されたか」が分かるため、仲介・アドバイザー側の視点としては非常に勉強になります。

お金や経営の話だけでなく、「創業者の想い」を理解することがどれほど大切かを痛感させられる内容です。M&A仲介の“やりがい”を具体的にイメージしやすい作品。
中村 悟氏が代表を務めるM&Aキャピタルパートナーズについては下記で解説しています。

5) 伸びる企業の買収戦略 ― 実録 中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖!

著者 | 日本M&Aセンター事業法人部 |
出版社・出版年 | ダイヤモンド社、2023年 |
- 現役コンサルタントが解説する最新の“攻めのM&A”
- 規模拡大、人材獲得、異業種進出など事例が豊富
M&A仲介大手「日本M&Aセンター」のコンサルタント陣が、買い手企業の戦略的M&Aを通じた成功事例を多数紹介。例えば、同業他社を買収して一気にシェアを伸ばす“規模拡大型M&A”や、全く違う業種を買い取り新事業を開拓する“異業種進出型M&A”など、多彩なパターンが登場します。
事例ごとに「どうして買収が成功につながったのか」を分析しており、買い手サイドの視点が身につくのも魅力です。

「M&Aは売り手側だけのものではない」という事実が改めてわかります。成長戦略の一環としてのM&Aを深く学ぶには最適な1冊でしょう。
日本M&Aセンターについては下記記事で詳しく解説しています。

3. 読んだ知識を“実践力”に変える!学習の進め方とポイント

上記のような書籍を読んだだけでは、すぐに実務がこなせるわけではありません。とはいえ、“目的意識”をもって取り組めば、得た知識を実務レベルまで引き上げることは可能です。ここでは、書籍の内容をどうやって“自分のスキル”として活かすか、ポイントをまとめます。
(1) 書籍の要点をまとめる “M&Aノート” を作る
- 重要な用語やプロセス、事例から学んだ成功・失敗パターンなど、気になる箇所をまとめたノートを作ることで、自分なりの理解が整理されます
- 例えば「相手(売り手・買い手・ファンドなど)の心理状態は?」「どのタイミングでどんな資料が必要か?」といった点をメモしておくと、いざ面接で問われた時にも明確に答えやすいです。
(2) イメージトレーニングと図表化
- M&Aの流れ(初期相談→バリュエーション→デューデリ→契約締結→PMI…)を自分で“図”にして時系列を視覚化してみましょう。
- 書籍の事例も交えて、自社が買い手/売り手だったら…と仮定してみるとリアルに理解できます。
- 図解・フローで頭に入ると、不測の質問がきても流れを説明しやすくなります。
(3) 面接や筆記試験対策としての活用
- 一部のM&A仲介会社・コンサルティングファームでは、ファイナンス系の筆記試験やケース面接が行われることがあります。
- 書籍で学んだバリュエーション手法(DCF法やマルチプル法など)や、簡単な財務分析を再現してみると、本番での対応力が大きく高まります。

私が過去に聞いた話では、M&A仲介会社の選考で「PERって何?」などの基本的な財務指標を問われることがあり、ここで曖昧な答えしかできないと一気に印象が下がるそう。書籍による座学を怠ると厳しい場面があるのは事実です。
4. M&A業界への転職で求められるスキルとは?

書籍で基礎知識を学んだ後は、転職市場でどんなスキルや経験が評価されるのか、改めて押さえておきたいところです。ここでは、具体的な“求められる能力”を一覧表や図でまとめてみましょう。
(1) スキルマップ:M&A業界で重宝される主な能力
スキル | 説明 | 活かせる職種 |
---|---|---|
財務分析・会計知識 | バランスシートや損益計算書、キャッシュフロー計算書の理解など | M&Aアドバイザー、投資銀行、財務部門 |
法務・契約実務 | 契約書の作成・レビュー、コンプライアンス対応 | 弁護士、法務部門、M&Aアドバイザリー |
税務・組織再編スキーム | 税効果、最適な組織形態の設計など | 会計士、コンサルタント、税理士 |
ビジネスコミュニケーション | 交渉力、プレゼンテーション、社内外との折衝力 | M&A仲介、コンサルティングファーム全般 |
プロジェクト管理 | 案件全体を把握し、期限管理・ステークホルダー調整を行う力 | M&Aコンサル、経営企画、営業 |
語学力・グローバル対応 | クロスボーダー案件への対応、海外投資家との交渉 | 投資銀行、商社、外資系ファンド |

20代後半~30代前半の若手であれば、たとえM&A経験がなくても、法人営業や金融知識が強みになる場合があります。企業価値評価やデューデリ、PMIは入社後に学べる部分もあるため、まずは営業力・コミュニケーション力で好印象をつかむのも手です。

(2) 年収データ・キャリアパスのイメージ
- M&Aキャピタルパートナーズ:2,277万円(IR資料より)
- 他M&A仲介会社でも1,000万円~2,000万円超の水準がめずらしくありません。

- M&A仲介会社に未経験入社
- 案件のアシスタントや補佐を通じ、徐々にデューデリ・バリュエーション実務を覚える
- 数年後にリーダーやマネージャーとして、大型案件を担当
- 成績次第では役員クラスの収入・ポジションへ

激務なイメージがありますが、高い年収・大きな達成感を得られる分、20代のうちから飛び込む価値は十分にあると感じます。特に大手仲介会社や投資銀行の場合、1件の成功報酬が非常に高額なので、実績がダイレクトに年収に反映しやすいのが強みです。

5. M&A転職を成功に導くためのエージェント活用術

M&Aは専門性が高く、求人の多くが“非公開求人”だったり、企業の内部事情を知らないと応募の段階で判断が難しかったりします。そこで頼りになるのが、M&A業界唯一の求人サイトを擁し、専門アドバイザーによるサポートが充実しているエージェントサービスです。
(1) エージェント活用のメリット
- 大手仲介会社など、一般公募されない重要ポジションを紹介してもらえる場合が多い。
- M&A業界ならではの視点(財務指標の理解度チェック、ケース面接対策など)が得られる。
- 条件面でのすり合わせや面接日程調整など、エージェントが仲介に入ることでスムーズに進む。
(2) 面接対策で重視されるポイント
チェックリスト
- 財務や会計の基礎知識があるかどうか
- 法人営業経験やコミュニケーションスキルをどうアピールできるか
- 志望動機が「なぜM&Aなのか?」に対して明確に答えられるか
(3) 他エージェントとの比較表
サービス名 | 得意分野 | 非公開求人数 | 面接対策 | 専門アドバイザー |
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A社 | ||||
B社 | ||||
M&A JOB BOARD |

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下記記事でM&A業界の転職でおすすめのエージェントを10社比較しています。参考にして管さい。

6. まとめ
本記事でご紹介したM&A業界への転職でおすすめの5冊を中心に知識を深めれば、M&A転職市場で求められる基礎力や視点が身につきます。さらに、書籍から得た学びを実践的なスキルへと昇華するには、専門のエージェントからのサポートが不可欠です。
最後に、本記事の要点を3つにまとめます。
本記事のまとめ
- まずは信頼できるM&A本で基礎固めを
M&Aは幅広い知識が必要ですが、初心者は入門書から始め、実務書や事例集へと段階的にステップアップすると効率的です。 - 書籍で学んだ知識を実務イメージに落とし込もう
ノート作成や図解化、面接対策への活用など、学びを“アウトプット”する習慣が大切です。 - 専門エージェントを活用して非公開求人や書類添削をフルに使う
M&A業界では企業の内情を知ったうえでの応募がカギ。特化型エージェントの支援で転職成功率を高めましょう。
高収入・専門性の高い魅力的なM&A業界への一歩を、ぜひ今回の情報を参考に踏み出してみてください。