M&A(合併・買収)において、デューデリジェンス(DD)は企業買収前の「詳細調査」として欠かせない重要工程です。特にM&A業界への転職を目指すビジネスパーソンにとって、デューデリジェンスの理解は大事です。その業界のビジネスモデルや商習慣、企業固有のカルチャー等を理解しないとクライアントが満足するレベルで対応できないことも多いです。
本記事では、M&A JOB BOARD(MAJB)転職エージェントが採用企業との面談を通じて得た独自調査をもとに、M&Aデューデリジェンスの基礎から必要スキル、そして転職成功のポイントまでを詳しく解説します。
これからM&A業界を目指す方が最初に知っておきたい知識を分かりやすくまとめました。高収入や専門性の獲得を狙うなら、ぜひ最後までご覧ください。

転職エージェント
M&A JOB BOARD 小松﨑 資
こまつざき たすく
中央大学法学部を卒業後、株式会社コーセーに新卒入社。法人営業及び本部窓口営業に従事。販売戦略の策定やステークホルダーとの関係構築を得意とし、在籍約3年間で営業成績で上位4%に入る成果を上げる。当社へ転職後、士業求人サイト「LEGAL JOB BOARD」でトップセールスを記録したのち、M&A業界に特化した転職サービス「M&A JOB BOARD」の立ち上げにに従事。現在は、M&Aキャリア開発事業部のエージェントとして、潜在的なニーズを引き出すヒアリング力と「想像以上のキャリア提案」を武器に、担当会員様からの高い満足度を誇る。
1. M&Aデューデリジェンスとは何か

(1) デューデリジェンスの基本的な流れ
M&Aデューデリジェンス(DD)は、買い手企業が売り手企業を買収(あるいは合併)する前に行う詳細な調査活動を指します。企業価値の適正判断やリスクの把握を目的とし、下記のような工程をたどります。
– 売り手企業の概要、財務諸表などの基本資料を入手
– 機密保持契約(NDA)締結後、より詳細な情報をやり取り
– 財務、税務、法務、ビジネスモデル面など各領域の専門チームが徹底的にチェック
– 必要に応じてヒアリングや社内資料の閲覧、現場訪問
– 発見されたリスクや問題点を整理し、買収価格や契約条件に反映
– 結果報告書(DD報告書)を作成し、最終的な買収判断に活かす

M&Aデューデリジェンスは、書類やデータを読み解くだけでなく、実際に企業の現場や経営者に深く入り込む“泥臭い”作業でもあります。そのため、人の心情を汲み取りつつ論理的に情報を整理する「コミュニケーション力」も非常に大事です。
(2) 財務DD・法務DDなど代表的な種類
一口にデューデリジェンスといっても、さまざまな切り口があります。代表的なのは以下の4つです。
– 貸借対照表、損益計算書など財務諸表の正確性を検証
– 隠れ債務や資産評価の誤りがないか入念にチェック
– 税務申告の不備、未払税金などの潜在リスクを検証
– 将来の税効果や節税スキームなども考察する
– 契約書類、訴訟リスク、許認可など法律面の問題点を洗い出し
– 知的財産権(特許・商標など)の保護状況も重要
– ビジネスモデルや顧客構造、市場競合など経営戦略面の実態を分析
– 買収後に本当にシナジーが生まれるかを見極める
企業規模や業種に応じて追加でIT/DDや環境DD、HR/DD(人事・労務面)などが行われるケースもあります。
- DDの具体的な作業自体は会計士・税理士、弁護士といった専門家にお任せもできますが、「このディールにおいて何がリスクになりそうか」を検知するのはコンサルタントです。
スムーズにM&Aを進めるためにも、リスクになりそうなことを事前に洗い出しておくことが重要です。
(3) DDを経験するキャリア上のメリット
- 専門性の高さが武器になる
M&Aの要となるDDは高度な知識を要するため、習得すれば希少性が高まり高年収も狙えます。 - 若手から経営者視点を養える
企業の内部情報を精査し、買収の可否を判断するプロセスを通じて、ビジネス全体を俯瞰できる視点が身につきます。 - 転職市場で評価されやすい
事業会社の経営企画やコンサル出身者はもちろん、金融機関の法人営業や商社での事業投資経験などがあれば、M&Aデューデリジェンススキルとの親和性をアピールできるため転職でも有利に働きます。

徹底的にリスクを洗い出す過程は、ビジネス全般の実態を学ぶ最適な機会です。経理・財務や法務の知識が自然と身につくため、将来の経営にも大いに役立つでしょう。
2. M&Aが注目される背景と将来性

(1) 事業承継問題と中小M&Aの拡大
日本では後継者不在に悩む中小企業が年々増加しており、黒字のまま廃業に追い込まれる“黒字廃業”が社会問題化しています。国も中小M&A推進計画などの施策を打ち出し、小規模M&Aを積極的に支援中です。この結果、売り手企業の裾野が広がり、買収意欲の高い企業が事業承継M&Aを加速させています。
- 事業承継M&Aの需要増
企業数の多い中小企業のM&A案件が増えるため、財務・法務などのデューデリジェンス需要も比例して拡大しています。 - 地方企業・ニッチ産業にも注目
地方で優良技術を持つ企業や、新興のITベンチャーなど、多様な“売り手企業”が市場に現れています。

中小企業DDは大企業と違い帳簿管理が甘いケースもあるため、企業価値の見極めにより専門知識と入念な作業が必要となります。それだけに関わる人材の市場価値は高いといえます。
下記記事ではM&A業界の業界地図について解説しています。よりM&A業界を知りたい方は参考にして下さい。

(2) 大企業・グローバル企業の積極的な買収戦略
一方、大企業のM&A戦略もますます活発化しています。海外進出や新規事業参入のスピードを高めるため、スタートアップ買収や海外企業買収が盛んです。
- グローバル企業の大型買収
エネルギー・通信・自動車など製造業からIT、金融まで、海外M&A案件が増加。各国の法制度や会計基準にも通じる必要があるため、専門人材の需要が急上昇しています。 - スタートアップ買収の加速
DX推進の流れで大手企業がIT系ベンチャーを買収して事業を強化する動きもあり、こちらもデューデリジェンスが欠かせません。
(3) M&A業界の拡大がもたらす転職チャンス
M&Aに関わるサービスを提供するM&A仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザリー)企業はこの数年で急増しました。特に事業承継M&Aを中心とする中堅規模の仲介会社が全国各地で設立され、専門人材を求めています。
- 未経験者採用にも積極的
急拡大するマーケットの人材不足を背景に、営業力やコミュニケーション力に長けた20代・30代を積極登用する企業が増えています。 - 高収入で成果主義
成果を上げれば20代後半でも年収1000万円超が狙える環境。専門性と頑張り次第で収入も大きく変動する魅力があります。

M&Aに携わることで得られるスキルは、一生モノの財産になります。たとえ転職後、他の事業会社に戻っても活きるため、「若いうちにM&Aでスキルを伸ばしたい」という考え方はキャリア上とても有効です。

3. M&Aデューデリジェンスを活かすキャリアパス

(1) M&Aアドバイザー・コンサルタントとしての活躍
M&Aデューデリジェンスの知見を積むと、次のようなポジションで活躍できます。
- 案件開拓(ソーシング)から条件交渉、クロージングまでをトータルにサポート
- デューデリジェンスのコーディネートやレポート読み込みも業務の一部
- PMI(買収後統合)支援や戦略コンサルと連動してDD業務に携わる
- グローバル展開や業界再編の大型案件に参加するチャンスも
- 株式公開、資金調達、バリュエーションを含む高度なアドバイザリー業務
- 海外案件のデューデリジェンスでは英語力・国際的視点が問われる
(2) 激務か?ワークライフバランスとの両立は
M&A業界は「忙しい」というイメージがつきまといます。確かに、案件のクロージング前には深夜残業や休日出勤が発生しやすいのも事実です。
- 裁量労働制やメリハリ
一方で、案件が落ち着けばまとめて休暇を取得できる企業も多く、自身の裁量でスケジュールをコントロールしやすい面も。 - キャリア初期の“投資”期間
20代・30代のうちに大きなプロジェクトを経験し、知識や人脈を一気に広げられるのは大きな魅力です。「忙しさを理由にあきらめるか」「短期間でもスキルを伸ばして大きく稼ぐか」は個人の選択に委ねられます。

仕事量は多い反面、若いうちから経営者と直接やり取りできる刺激的な環境は他にありません。激務は覚悟の上とはいえ、成長曲線が急上昇するジャンルを望む人にはやりがいが大きいです。
(3) 年収アップのリアル:20代で1000万円超えも可能?
M&A業界は成果主義が強く、成約時のインセンティブが高額に設定されているケースがあります。そのため、20代後半でも年収1000万円超は十分射程圏内です。

- 前職:営業職 年収600万円 → M&Aアドバイザー
- 転職後:基本給+インセンティブで年収1000万円超
- 30代で年収2000万円超えも
大手仲介や投資銀行で成果を出せば2,000万円台に到達する例も存在。 - 支えとなる専門知識と実績
財務DDの経験や法務リスクに精通することで、より高度な案件を担当でき、インセンティブを取りやすくなる構図です。

給与とインセンティブのバランスは企業ごとに大きく異なります。「ベースアップ重視型」「インセンティブ重視型」など、自分の性格や希望に合った報酬体系を選ぶことが大切です。
下記記事ではM&A仲介のインセンティブについてより詳しく解説しています。

4. 未経験からM&Aデューデリジェンススキルを身につける方法

(1) 押さえるべき基礎知識と資格
M&Aデューデリジェンスで最も重視されるのが財務諸表の読み解きです。まずは日商簿記2級レベルの知識が目安。ファイナンスや企業価値評価に関する本・講座を活用するのも効果的です。
会社法、契約法、税務申告の概論などを押さえておくと、法務DD・税務DDの概要を掴みやすくなります。
近年は「事業承継・M&Aエキスパート資格」などM&Aに特化した民間資格も登場し、基礎知識の証明手段として人気があります。

(2) 在職中からできる実務経験の積み方
自社で合併・買収、事業提携の話が浮上したら積極的に参加を申し出る。資料作成や会計監査の手伝いなど、部分的な業務でも“実務経験”としてアピールできます。
金融業界の営業やコンサルティングファーム出身なら、顧客企業との関係性を生かしM&Aニーズの掘り起こしを試みるのも一手。
社外セミナーやオンラインコースでDDのケーススタディを学び、実践的な知識を身につける方法もあります。

M&A未経験でも、自分の営業・企画経験が「経営者との折衝スキル」「数字を使った提案力」に繋がることをしっかり言語化できれば、転職面接で大きな武器になります。
(3) 転職エージェントを活用した効率的なステップアップ
M&A業界は企業ごとに求める人材像が異なるため、専門エージェントで情報収集や面接対策をするのがおすすめです。
- 業界に精通したアドバイザーがマッチング
応募先の社風や業務内容、インセンティブの仕組みなど、内部事情まで把握したうえで最適な求人を提案してもらえます。 - 書類添削と面接練習で合格率アップ
未経験者がつまずきがちな専門用語や志望動機の伝え方をプロが修正。たとえ知識不足でも、意欲と伸びしろを効果的にアピールできるよう導いてくれます。
M&A転職に強いエージェントと選び方を下記記事で解説しています。

5. M&A専門の転職支援サービス「M&A JOB BOARD(エムアンドエージョブボード)」を活用しよう

M&A業界での転職は情報が限られ、かつ競争率も高いため、専門のエージェントを活用することで転職成功率が格段に高まります。そこでおすすめなのが、M&A業界唯一の求人サイトである「M&A JOB BOARD(エムアンドエージョブボード)」の活用です。
- 独自の非公開求人が豊富
多数の企業と連携し、大手転職サイトには掲載されていない大手仲介会社から新興ベンチャーまで求人を多数取り扱っています。 - 業界に精通したアドバイザーが支援
書類添削や面接対策だけでなく、応募企業との面談日程調整や条件交渉など、全プロセスをサポート。 - 過去の成功・失敗事例に基づくアドバイス
これまで多くのM&A仲介会社への転職をサポートしてきた実績があるため、内定獲得への最適ルートを示してくれます。

自分の強みが何か分からないまま応募しても、高い壁に阻まれがち。MAJBならエージェントとの面談を通じて“どこに自分の武器があるか”を明確化できます。
5-1:M&A JOB BOARDで転職活動を始める方法
- 登録することで非公開求人の詳細やエージェントのより手厚いサポートを受けられます。
- M&A JOB BOARD公式サイトより会員登録(無料)
- 「M&A業界に挑戦してみたいが自分の経験は通用するのか?」「もっと具体的な年収や働き方を知りたい」など、
- お電話での相談予約フォームからお気軽にご相談ください。
- 転職エージェントから連絡があり、希望日程をすり合わせてオンラインでの面談を実施します。
- 志望する企業の募集要項や年収レンジ、応募条件などを確認し、エージェントと相談しながら応募を決定。
- 気になる案件があれば、アドバイザーがさらに詳しくご説明します。
- 求職者向けの求人一覧ページを確認し、自分の条件に合う案件を探してみてください。
興味のある求人への応募書類作成、面接対策をアドバイザーがサポート
年収交渉や労働条件のすり合わせ、入社日の調整など細部をサポート

M&A業界への転職は、資料選考や面接で求められる知識・熱意が高いため、一人で挑戦するのはリスクが大きいです。エージェントを有効に活用することで、何倍ものスピードと正確さで内定を勝ち取れるでしょう。迷っている方はまず相談だけでも大歓迎です。
まとめ
企業と企業を結びつけるM&Aでは、デューデリジェンスこそが“成功を左右するカギ”と言っても過言ではありません。若手のうちにDDに関わるスキルを身につけることで、大きな飛躍と高収入を狙えるのがM&A業界の魅力です。
最後に、本記事の要点を3つにまとめます。
本記事のまとめ
- M&Aデューデリジェンスは転職の重要ポイント
– 財務や法務など複数視点から企業を深く分析するDDスキルは、高年収や市場価値向上につながる大きな武器です。 - 未経験でも計画的にスキル習得が可能
– 簿記や法務の基礎学習、社内外の研修を活かしつつ、転職エージェントを使えば効率的に知識を補えます。 - 専門エージェント活用で転職成功率が上がる
– M&A業界特化の求人サイト「MAJB」なら、非公開求人と手厚い支援を得て自分に合ったキャリアアップが目指せます。
自分の得意分野を活かしつつ、新たな知識を積み上げれば、未経験からでも十分に転職は可能です。ぜひこの機会にM&A JOB BOARD(MAJB)のサポートを受けながら、M&Aというダイナミックな世界に挑戦してみてください。